キャリアとは(1)

※ 本記事は「マイベストプロ静岡」のコラムに掲載されているものです。
多くの人が日常的に使っている「キャリア」という言葉。しかし、「キャリアとは何ですか?」と聞かれると、意外と説明が難しい言葉でもあります。
こんにちは。
マイベストプロ静岡に、キャリアカウンセリングの専門家として参加することになりました福島治男です。
私は、キャリアコンサルティングを提供する会社「キャリアデザイン・メンタルサポート株式会社」を経営し、「国家資格キャリアコンサルタント」として、お客様のキャリア形成をご支援するサービスを提供しています。
ここで「国家資格キャリアコンサルタント」と表記しましたが、まだあまり知られていない資格だと感じています。民間資格だった「キャリア・コンサルタント」が国家資格になったのは2016年。もう10年が経過しました。「新しい資格なので知られていない」という言い訳(?)も、そろそろ使えなくなりつつあるのかもしれません。
キャリアは誰にとっても関係のあるテーマです。それにもかかわらず、キャリアコンサルタントという存在がなかなか広く知られない背景には、言葉の概念が人によってさまざまに理解されていることもあるのではないかと感じています。
ここで関係する言葉には、次のようなものがあります。
キャリア
カウンセリング/カウンセラー
コンサルティング/コンサルタント
そしてこれらの言葉が組み合わされて、「キャリアコンサルティング」「キャリアカウンセリング」という言葉としても使われています。実は、このコラムの冒頭でも私は
「キャリアカウンセリング」「キャリアコンサルティング」「キャリアコンサルタント」
という3つの言葉を使いました。3つ目の「キャリアコンサルタント」は、キャリアコンサルティングを行う人だと、多くの方がイメージできると思います。しかし、「キャリアカウンセリング」と「キャリアコンサルティング」は同じものなのでしょうか。それとも違うものなのでしょうか。
私の理解では、アメリカで発展してきた「キャリアカウンセリング」が、日本では「キャリアコンサルティング」という名称で導入・普及してきたというもの。基本的にはほぼ同じものと理解してよいと考えています。アメリカの「キャリアカウンセリング」が、日本で「キャリアコンサルティング」として導入された背景については、また別の機会にお伝えしたいと思います。
今回はまず、「キャリア」という言葉そのものに注目してみたいと思います。キャリアは英語では「career」と書きます。似た言葉に「carrier」という単語がありますが、これは意味も発音も異なる言葉です。私が扱うのは「career」です。語源はラテン語で、轍(わだち)や馬車道を意味する言葉だとされており、「carrier」の語源も同じのようです。
ここまで少し長くなりましたがこのコラム「キャリアとは」の第1弾として、「キャリア」と「職業」との違いについてご紹介します。とても分かりやすい解説が、
「渡辺三枝子 + E.L>ハー 著『キャリアカウンセリング入門 -人と仕事の橋渡し-』 ナカニシヤ出版、2001年、p.65」
に記されています。
職業とキャリアとの大きな違いは、前者は、それに携わる個人から独立して存在するのに対して、キャリアは、それを行動する(生きる)個人から独立しては存在しえないということである。
クライツ(Crites, 1965)の言葉を借りれば、職業は、人が選ぶことのできる対象物であるが、キャリアは、人が、特定の職業や職場、生き方を選ぶことによって、時間をかけて作り上げるのである。したがって、人は、職業を選別することはできるが、キャリアを選別することはできないのである。
私がこのコラムの最初のテーマとして「キャリアとは」を取り上げた理由があります。それは、キャリアコンサルタントとして仕事をする中で、「キャリアとは何か」をコンパクトに説明することの難しさを、これまで何度も感じてきたからです。またキャリアに関する書籍には、それぞれの立場からキャリアの概念が説明されています。読み進めるほどに、この言葉の奥深さを実感します。
今回は「キャリアとは(1)」として、職業とキャリアの違いを整理しました。
職業とは、個人から独立して存在しており、人が選ぶことのできるもの。
一方でキャリアとは、個人から独立して存在するものではなく、人が時間をかけて築き上げていくものです。
次回は「キャリア」の概念を、もう少し幅広くお話していきます。










