
シリーズ「小規模事業者が学ぶストレスチェック制度」【第2回】ストレスチェック制度とは?小規模事業者が押さえる基本と実務ポイント
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前回(第1回)では、小規模事業者にもストレスチェック制度が拡大される背景について解説しました。
制度の拡大が現実味を帯びる中で、次に問われるのは「そもそも何をする制度なのか」という点です。
ストレスチェックという言葉自体は広く知られていますが、その目的や具体的な実施内容、そして事業者としての責任範囲などについて、これから導入する企業にとっては分からない点も多いことでしょう。
そこで今回は、2026年2月に厚生労働省が公表した「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」をもとに、制度の基本構造と実務上のポイントを整理します。
「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」は、労働者数50人未満の事業場において、ストレスチェックを円滑に実施することを目的としたものです。
ストレスチェック制度は2015年12月に開始されましたが、従業員数が少ない事業場では、労働者のプライバシー保護や実施負担の大きさなどを理由に、50人未満の事業場については努力義務とされてきました。こうした課題への対応策が、本マニュアルに示されています。
また対象は、単に50人未満の事業場にとどまりません。以下のような形態も対象とされています。
業界団体所属型:商工会や協同組合などの業界団体に所属している企業
地域集積型:工業団地・卸団地や商店街など、地域的にまとまっている企業
単独企業分散型:全社として従業員規模が大きくても、営業所や工場、チェーン店など拠点ごとに50人未満の事業場
つまり「小規模事業場」という考え方は、企業全体の規模ではなく“実際の職場単位”で捉える必要があります。以下このマニュアルのポイントの中から、特に鍵となる3点についてお伝えします。
マニュアルで繰り返し強調されているのが、この制度の本質です。 それは「メンタル不調の未然防止」であり、「精神疾患の発見」ではありません。この前提を外してしまうと、制度の運用は形骸化しやすくなります。制度は、次の3つの流れで構成されています。
① ストレスチェックの実施
質問票によりストレス状態を把握し、本人へ結果を通知。セルフケアの気づきを促します。
② 医師による面接指導
高ストレス者が申し出た場合に実施。必要に応じて就業上の措置につなげます。
③ 集団分析と職場環境改善
結果を職場単位で分析し、働きやすい環境づくりに活かします。
このうち、事業者に義務付けられているのは①と②です。 ③は重要ではあるものの、現時点では従業員数によらず努力義務とされています。
このマニュアルでは、ストレスチェックの実施は外部委託が推奨されています。 最大の理由は、労働者のプライバシー保護です。
ストレスチェックにおける実施者は、先に説明したストレスチェックの流れの中で「① ストレスチェックの実施」を担うものです。労働者に対して質問票を用いた調査を行うだけでなく、
まで担います。
これらを社内で完結させることは、小規模事業場にとってはプライバシー保護の観点から、外部委託にすることが望ましいでしょう。そして社内には「実務担当者」を指名します。実務担当者はストレスチェック制度の実施計画の策定や、外部委託先との連絡調整などを担当します。
もう一つの実務上のハードルが、医師による面接指導です。
この点については、「地域産業保健センター(地産保)」の活用が現実的な解決策として示されています。地産保は 全国約350か所に設置されており、特に小規模事業場は優先して無料で支援を受けることが可能です。ただし注意点として、 ストレスチェックそのものの実施は依頼できません。 あくまで「面接指導の支援機関」である点は押さえておく必要があります。
マニュアル本体は全46ページとコンパクトですが、さらに4ページのスタートガイドも用意されています。実務として取り組む際には、
という進め方が効率的です。
今回は小規模事業場でストレスチェックを導入するポイントを、マニュアルの要点からお伝えしました。次回は制度導入に際して気を付けること、また2015年の制度スタートから見えてきた、ストレスチェック制度そのものの課題についてお伝えします。
【第1回】小規模事業場も対応が急がれるストレスチェック制度はこちら