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日本企業における最新のメンタルヘルス事情

この記事は「マイベストプロ静岡」の弊社コラムにも掲載しています

今回のコラムでは、最新のメンタルヘルスに関する調査結果をもとに、働く個人として、また組織として、メンタルヘルスにどのように向き合うべきかについて考えます。取り上げるのは、公益財団法人 日本生産性本部が2025年11月10日に発表した『第12回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果』です。本調査は、2025年7月から8月にかけて2,814の上場企業に協力を依頼し、171社から有効回答を得たものです。

若者世代が「心の病」を最も抱える世代に

本調査でまず注目されるのが、「心の病」が最も多い年齢層が10〜20代である点です。「心の病」が最も多い年齢層を尋ねたところ、前回(2年前)に続き、10〜20代が最多となりました。この調査の歴史を振り返ると、調査が始まった2002年から2010年頃までは、30代が圧倒的に多い年齢層でした。その背景としては、仕事の責任は重くなる一方で管理職ではないという、「責任と権限のアンバランス」があるためと考察されていました。それに対して、近年10〜20代が最多となっている理由について、報告書では次のように述べられています。

「コロナ禍中に入社した若年層が、テレワーク等により対人関係や仕事のスキルを十分に積み上げることができない中で、成長実感や達成感を持ちにくく、孤立感や孤独感を感じやすくなっている可能性が指摘できる。」

また、50代についても10%と低水準ではあるものの、過去最高値となっている点についても注意を呼びかけています。

約4割の企業が「心の病は増加傾向」と回答

本調査では、直近3年間における「心の病」の増減傾向についても分析されています。その結果、「増加傾向」と回答した企業は39.2%、「横ばい」は52.0%でした。一方で「減少傾向」は4.7%と、ごく少数に留まりました。(4.1%は「わからない」と回答)

この結果から、多くの企業にとってメンタルヘルスは、今なお継続的に取り組むべき重要な課題であることがうかがえます。またこの報告書ではストレスチェック制度についても調査していますが、”2015年の導入から10年経過しても、依然課題が残されている”としています。さらに今のメンタルヘルス課題についてコロナ禍に伴う一過性のものではなく、働き方や職場環境の変化に対応した新たな取り組みの必要性についても言及しています。

経営理念の浸透とメンタルヘルスの関係性

本報告書の中で特徴ある視点として注目したいのが、経営理念の浸透度と「心の病」の増減傾向との関係性についての分析です。

調査によると、会社の理念や経営方針について「浸透していると(やや)思う」と回答した企業の方が、「浸透していると(あまり)思わない」回答した企業よりも、「心の病」について「増加傾向」と回答する割合が低い傾向が見られたとしています。

このような結果が得られた考察としては、理念や経営方針が従業員にとっての指針となり、個人のアイデンティティの形成や将来の見通しの確保につながる、そしてメンタルヘルスにも良い影響を及ぼしている可能性を挙げています。

言い換えれば、組織が方向性や意味づけを示すことは、従業員のキャリア形成を支えると同時に、メンタルヘルス不調の予防にもつながると捉えることができるでしょう。

さらに、先に触れた50代の「心の病」の増加傾向についても、こうした観点から読み解くことができるのではないでしょうか?現代の変化の激しい時代においては、経験豊富なベテラン層であっても、自身の役割やアイデンティティを再構築していくことが求められます。ミドル世代のアイデンティティ再構築に、会社の理念や経営方針が大切や役割を担うのかもしれません

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