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オワハラ問題から考える「働くとは何か」

「オワハラ(就活終われハラスメント)」という言葉が広く知られるようになって久しくなりました。

オワハラは企業が学生に対して内定や内々定を行うことと引き換えに、学生の意思に反して他社選考の辞退や早期の意思決定を求める行為として語られることが多く、学生の職業選択の自由との関係から問題視されています。2025年(令和7年)12月に内閣府が公表した『学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果について』によると、「オワハラを受けたことがある」とした人は8.3%で、近年はこの同様の水準であることが述べられています。

私はキャリアコンサルタントとして、この問題を単純な加害者と被害者の構図で捉えることの先に、働くことの意味を考える機会があるように感じています。

増え続ける「就職活動の登場人物」

まず現在の採用市場は、企業と学生だけで成り立っているわけではないという現実があります。

かつての就職活動は、学生と企業が中心でした。ところが現在は、

  • 大学のキャリアセンター
  • 就職情報サイト
  • 就活エージェント
  • 人材紹介会社
  • SNSで情報発信を行う就活経験者やインフルエンサーなど
  • 多くの人や組織が学生の進路選択に関わっています。

    学生にとっては情報や支援が充実した一方で、さまざまな立場の人から異なるメッセージが届く時代になりました。

  • 企業は採用したい。
  • エージェントはマッチングを成立させたい。
  • 大学は学生を支援したい。
  • それぞれに目的があり、それぞれが仕事として活動しています。オワハラ問題の背景には、こうした採用市場の構造変化も存在しているのではないでしょうか。

    無料の裏側にある仕事

    学生の立場から見ると、説明会も面接もキャリア相談も無料です。しかし、本当に無料なのでしょうか。

    企業は採用活動に多くの費用を投じています。就職支援サービスも、人が働くことで成り立っています。

  • 説明会を企画する人がいる。
  • 面接を担当する人がいる。
  • キャリア相談に応じる人がいる。
  • 私たちが受け取るサービスの背景には、必ず誰かの仕事があります。そして働く人は、その仕事の対価として報酬を得ています。社会とは、このような仕事の交換によって成り立っている仕組みなのだと感じます。

    自由な選択と、仕事への敬意

    私は、内定辞退を否定したいわけではありません。人生に関わる重要な選択ですから、納得できる企業を選ぶことは当然の権利です。

    しかし同時に、自分のために時間や労力を使ってくれた人たちがいることも忘れてはならないと思います。
    自由な選択とは、周囲への影響を理解したうえで行う選択でもあります。

  • 企業にも事情がある
  • 支援者にも事情がある
  • そして自分自身にも人生があります
  • そのすべてを理解しながら判断することが、社会人としての成熟につながるのではないでしょうか。

    社会へと踏み出す前に、自分の職業選択には多くの人たちが関わっていて、それぞれの人たちが働いている。そしてもうすぐ私も、その一員に加わる。学生の皆さんにはこのような世の中の状況を少しでも実感しながら、自らの大切なキャリアの一歩を選択してもらいたいと思います。

    最近は大学側も学生に対して、節度ある就職活動をすることを呼びかけているようです。節度ある就職活動とは、まさに働くことの意味を考えることではないでしょうか?

    キャリアとは「働く意味」を考えることでもある

    キャリア支援の現場では、「どの会社に入るか」が話題になりがちです。

    しかし、本当に重要なのはその先ではないでしょうか?

    自分は何のために働くのか。

    どのような価値を社会に提供したいのか。

    誰かの仕事に支えられていることを理解し、自分もまた誰かを支える存在になる。私はキャリアとは、そのような社会との関わり方を考える営みだと思っています。

    オワハラ問題は、企業が悪いのか学生が悪いのかという議論で終わらせるには惜しいテーマです。

    採用市場には多くの登場人物がいます。そして、その一人ひとりが「働く人」です。

    だからこそ、この問題をきっかけに「働くとは何か」「仕事にはどのような価値があるのか」を考えてみたいと感じます。

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