
「誰もが働きやすい職場」は経営課題へ─SOGI理解増進の基本計画から企業が考えたいこと
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令和8年(2026年)6月16日、政府は「性的指向及びジェンダーアイデンティティ(SOGI)の多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画」を閣議決定しました。(補足1)SOGI(ソジ) とは、Sexual Orientation(性的指向性)と Gender Identity(ジェンダーアイデンティティ)の頭文字を組み合わせた言葉です。(補足2)
性的指向やジェンダー、つまり「LGBTの話」と聞くと、自社には関係ないと感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この基本計画が示しているのは、一部の人への特別な配慮ではありません。誰もが安心して能力を発揮できる社会を目指すという考え方です。これは企業経営に置き換えれば、「誰もが安心して働ける職場づくり」と言えるでしょう。
補足1
令和5年6月23日に公布・施行された「性的指向及びジェンダーアイデンティティ(SOGI)の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」は、「理解増進法」と記されます。
補足2
SO:性的指向性(Sexual Orientation):恋愛感情または性的感情の対象となる性別についての指向。
GI:ジェンダーアイデンティティ(Gender Identity):自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無または程度に係る意識。
職場には様々な背景を持つ人がいます。年齢、性別、国籍、障害の有無、子育てや介護の状況、そして性的指向やジェンダーアイデンティティも、その人らしさを構成する要素の一つです。もし職場で「話しても理解されない」「自分らしく働けない」と感じれば、本来の力を発揮することは難しくなります。
一方で、お互いを尊重し安心して相談できる職場では、心理的安全性が高まり、コミュニケーションも活発になります。これは離職防止や人材定着にもつながる重要な要素です。
このテーマになると、「何をすればよいのかわからない」という声をよく耳にします。しかし、多くの企業で最初から大掛かりな制度を整える必要はありません。例えば、
こうした取り組みは、性的指向やジェンダーアイデンティティに限らず、すべての従業員にとって働きやすい環境づくりにつながります。
私たちはキャリアコンサルティングを通じて、多くの働く方の悩みに向き合っています。その中で感じるのは、「自分らしく働けない」と感じる理由は、人それぞれ異なるということです。
職場の人間関係で悩む人もいれば、家庭との両立に悩む人もいます。性的指向やジェンダーアイデンティティに関する悩みも、その一つです。だからこそ大切なのは、属性だけを見ることではなく、「その人自身を見る」姿勢ではないでしょうか。
今回の基本計画は、企業に新たな義務を課すものではありません。しかし、人材確保がますます難しくなる時代だからこそ、「安心して働ける会社」であることは大きな強みになります。基本計画の元となった理解増進法には、基本理念として、次のように定められています。(第3条)
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならない。
多様な人材が能力を発揮できる職場づくりは、社会貢献であると同時に、企業の持続的な成長にもつながります。制度が変わったから対応するのではなく、「より良い職場をつくる」という視点から、一歩ずつ取り組みを進めていきたいものです。