
認知症は本人だけの問題ではない――家族の介護と仕事・キャリアを考える
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9月21日は「認知症の日」です。1994年に「国際アルツハイマー病協会」(ADI)と世界保健機関(WHO)が共同で、毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」に制定しました。
日本では、2024年1月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、9月21日が「認知症の日」、9月が「認知症月間」と定められています。
補足) 認知症は病気ではなく症状のこと、アルツハイマー病は病気の一つであり、多くの認知症において原因になるものです。
認知症というと、まず「認知症になった本人」の問題として考えることが多いかもしれません。
しかし、認知症は本人だけの問題ではありません。
家族の生活にも影響を及ぼします。そして、その影響は、家族の仕事やキャリアにも及ぶことがあります。
厚生労働省の資料(認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計)によると、2022年の65歳以上の認知症有病率は12.3%でした。また、年齢が上がるほど認知症の有病率は高くなっています。
この数字からも、認知症は特に高齢期に身近になる問題だと分かります。
だからこそ、40代、50代、60代と働いている世代にとっては、「自分自身が認知症になる」という問題だけではなく、親の認知症や介護という形で関わる可能性があります。
親に認知症の症状が見られるようになれば、
– 病院への付き添い
– 親の生活の見守り
– 介護サービスの手続き
– 家族間での役割分担
– 急な休みや早退
など、これまでになかった対応が必要になることがあります。
そして、それが仕事に影響することもあります。
総務省統計局が公表した「令和4年就業構造基本調査」では、介護をしながら働いている人は365万人した。
一方、家族の介護・看護を理由とする離職者は10.6万人となっています。
介護をしている人の中には、企業の中核を担う働き盛り世代も少なくありません。つまり、家族の認知症や介護は、決して「仕事とは別の問題」ではないと言えます。
本人にとっても、企業にとっても、仕事と介護をどう両立するかは重要なテーマになっています。
家族の介護が必要になったとき、
「仕事を続けるか、介護をするか」
という二択で考えてしまうかもしれません。
しかし、実際にはその間にさまざまな選択肢があります。
勤務時間を調整する。
休暇や介護休業を利用する。
介護サービスを利用する。
家族で役割を分担する。
職場に相談する。
地域の相談窓口に相談する。
こうした方法を組み合わせながら、仕事と介護の両立を考えていくことができます。
厚生労働省も、仕事と介護の両立を支援するため、介護休業や介護休暇、短時間勤務などの制度の導入を推奨、支援しています。
2025年4月からは、介護離職を防ぐため、事業主に対して、介護に直面した労働者への制度の個別周知・意向確認や、介護に直面する前の早い段階での情報提供などが義務づけられました。
「介護が始まってから考える」のではなく、早い段階から情報を知っておくことが重要になっています。
ここで、キャリアについて少し考えてみたいと思います。
キャリアというと、転職や昇進、仕事上の能力や実績などを思い浮かべるかもしれません。
しかし、私たちのキャリアは、仕事だけで決まるものではありません。
結婚、子育て、病気、家族との関係、介護など、人生の中で起こるさまざまな出来事によって、働き方や価値観は変化します。
親の認知症や介護も、その一つです。
介護をきっかけに働き方を見直す人もいるでしょう。
これまでとは違う仕事の仕方を選ぶ人もいるかもしれません。
場合によっては、一時的に仕事を離れるという選択もあるでしょう。
どの選択が正しいということではありません。
大切なのは、周囲の人の選択をそのまま自分に当てはめるのではなく、
「自分は何を大切にしたいのか」
「これからどのように働いていきたいのか」
を考えることです。
介護の問題は、家族の中だけで抱えてしまうことがあります。
「職場には言いにくい」
「同僚に迷惑をかけたくない」
「自分が何とかしなければならない」
そんな思いから、相談することをためらってしまうこともあるでしょう。
しかし、介護の負担が大きくなれば、心身の健康だけでなく、仕事にも影響する可能性があります。
だからこそ、早い段階で相談することが大切です。
介護については、地域包括支援センターなどの相談窓口があります。
職場には、仕事と介護の両立を支える制度があります。
そして、「介護をしながら、これから自分はどう働いていけばよいのだろう」と悩んだときには、キャリアコンサルタントに相談することもできます。
キャリアコンサルタントは、転職先を紹介するだけの存在ではありません。
人生の中で起こった出来事を整理しながら、これからの働き方やキャリアについて一緒に考えることも、キャリア支援の一つです。
認知症基本法では、認知症の人だけでなく、家族等への支援も基本理念の一つとして位置づけられています。また、認知症の人が社会のあらゆる分野の活動に参加する機会を確保することなども掲げられています。
認知症を考えることは、本人だけを見ることではありません。
家族の生活も含めて考えること。
そして、その家族自身の人生や仕事についても考えること。
それが、認知症と共に生きる社会を考えることにつながるのではないでしょうか。
9月21日の「認知症の日」をきっかけに、認知症について知るだけでなく、
「もし親の介護が必要になったら、自分はどうするだろう?」
「仕事と家族のことを、どう両立していきたいだろう?」
と、自分自身のこれからについて考えてみてはいかがでしょうか。
キャリアとは、仕事だけを考えることではありません。
人生の中で起こるさまざまな出来事と向き合いながら、自分がどのように生き、働いていくのかを考えていくこと。
それもまた、キャリアを考えるということなのではないでしょうか。
弊社ではお客様のキャリアに関する悩みや困りごとなどについて、ご相談をお受けしております。まずはお気軽にご連絡ください。