
9月10日「世界自殺予防デー」から考える、心の健康とキャリア
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9月10日は「世界自殺予防デー」です。
世界自殺予防デーは、自殺予防について世界的に関心を高めることを目的として設けられた日です。WHO(世界保健機関)とIASP(国際自殺予防学会)が共同で定めたものであり、自殺は予防可能であるという考え方のもと、世界各地で啓発活動が行われています。
また日本では、毎年9月10日から16日までを「自殺予防週間」と位置付けて、行政や関係団体が連携・協働して、自殺予防に関する啓発活動や相談事業が行われています。
自殺予防というテーマは、とても重く感じられるかもしれません。しかし、この問題を考えることは、特別な誰かの問題だけを考えることではありません。
むしろ私たち一人ひとりが、
「最近、少し無理をしていないだろうか」
「以前と比べて、心や体に変化はないだろうか」
「誰かに話せる状態にあるだろうか」
と、自分自身や周囲の人に目を向けることにつながります。
そして、働く人にとって心の健康を考える際、私はキャリアという視点も切り離すことができないと考えています。弊社の社名「キャリアデザイン・メンタルサポート株式会社」は、この意図を明確に示すためのものです。
メンタルヘルスの問題について考えるとき、「仕事のストレス」という言葉がよく使われます。
もちろん、長時間労働、人間関係、過重な責任、ハラスメントなど、仕事が心身に大きな影響を与えることはあります。
しかし、働く人の悩みを丁寧に聴いていくと、問題は必ずしも「今の仕事が大変だから」という一つの理由だけでは説明できません。
例えば、
– 自分がこの先どうなっていくのか見えない
– 今の仕事を続ける意味が分からなくなった
– 自分の強みを生かせている実感がない
– 昇進や異動によって、これまでの役割が変わった
– 家庭や介護などとの両立に悩んでいる
– 周囲と比べて、自分だけが取り残されているように感じる
こうした悩みは、一見すると「キャリアの問題」に見えるかもしれません。
しかし、その状態が長く続けば、自己肯定感が低下し、意欲を失い、心身の不調につながることもあります。
つまり、メンタルヘルスとキャリアは、別々の問題として存在しているわけではありません。
「どのように働いているか」と「どのように生きているか」は、互いに影響し合っているのです。
心が疲れてくると、人は自分自身を責めてしまうことがあります。
「以前はもっとできたのに」
「こんなことで弱音を吐いてはいけない」
「みんな頑張っているのだから、自分も頑張らなければならない」
しかし、以前と同じように働けなくなったことが、必ずしも本人の能力や意欲の問題とは限りません。
人は、年齢とともに変化します。
置かれている環境も変わります。
家族との関係、健康状態、役割、責任、社会の状況なども変化していきます。
キャリアとは、単に職業上の経歴ではありません。
仕事を通じてどのような経験をし、何を大切にし、どのように生きていくのかという、長い人生の過程そのものでもあります。
だからこそ、今までと同じように働けなくなったときには、「自分が弱くなった」と考えるだけではなく、
「今の自分と、今の環境との間に、何か無理が生じていないだろうか」
と考えてみることも大切ではないでしょうか?
2026年の世界自殺予防デーでは、「Changing the Narrative on Suicide」というテーマのもと、苦しみについてオープンで思いやりのある対話を促すことが呼びかけられています。
「Start the Conversation」、つまり、まず会話を始めることです。
もちろん、話をすればすべての問題が解決するわけではありません。
専門的な支援や医療が必要になる場合もあります。
それでも、誰にも話せず、一人で抱え続ける状態と、「ここなら話してもよい」と思える場所がある状態には、大きな違いがあります。
職場においても同じです。
上司や同僚がすべての悩みを解決する必要はありません。
しかし、
「最近、少し元気がないように見えるけれど、大丈夫ですか」
「何か困っていることがあれば話してください」
と、相手を気にかけることはできます。
また、本人にとっては、職場の人には話しにくい悩みもあります。
仕事への不満、上司との関係、今後のキャリア、家庭との両立など、職場の中では相談しづらいテーマも少なくありません。
だからこそ、組織の外も含めて、安心して話せる相談先を持つことが重要になります。
キャリア支援というと、
「昇進するため」
「転職するため」
「スキルアップするため」
といったイメージを持つ方も多いかもしれません。
もちろん、それらもキャリア支援の一部です。
しかし、キャリアを考えることには、もう一つ大切な意味があります。
それは、自分自身の状態を確認することです。
今、自分は何に負担を感じているのか。
何を大切にしたいと思っているのか。
今の仕事や役割は、自分にどのような影響を与えているのか。
これから、どのように働き、どのように生きていきたいのか。
こうした問いに答えがすぐに出る必要はありません。
むしろ、答えが出ない時期があることも、人生やキャリアの自然な姿です。
大切なのは、一人で抱え込み、追い詰められてから考えるのではなく、普段から自分自身について考え、必要に応じて誰かと話すことではないでしょうか。
メンタルヘルスの問題が起きたとき、自分自身に注目することは重要です。
しかし、その人が置かれている環境や仕事、人生の状況から切り離して考えることはできません。
反対に、キャリアの問題について考えるときも、その人の心身の状態を無視することはできません。
人が自分らしく働き続けるためには、
心の健康を支えること
そして、
自分自身が置かれた環境と自身のキャリアについて考える機会を持つこと
この両方が必要なのだと思います。
9月10日の世界自殺予防デーをきっかけに、まずは「自殺」という言葉だけに目を向けるのではなく、その手前にある一人ひとりの悩みや孤立、そして「話せない状態」にも目を向けてみたいものです。
自分自身について考えること。
誰かの変化に気づくこと。
そして、必要なときに話せること。
こうした一つひとつの積み重ねが、心の健康を支え、働き続けることを支え、そしてその人らしいキャリアを支えることにつながっていくのではないでしょうか。
心の不調や強い悩みを感じているときには、一人で抱え込まず、医療機関や専門の相談窓口などにつながることも大切です。
厚生労働省では、「自殺予防週間」に合わせて相談支援や啓発活動を行っており、電話やSNSなどによる相談先の情報も紹介しています。
また、働く人や事業者、家族などに向けたメンタルヘルス情報は、厚生労働省の「こころの耳」でも提供されています。
もし今、強い苦しさや危険を感じている場合には、一人で抱え込まず、身近な人や専門機関、緊急の相談先にすぐつながってください。
もちろん弊社でも、キャリアやメンタルヘルスに関するご相談を受け付けております。個人の方、経営者の皆さんにも、従業員の皆さまのこころの健康をキャリア形成を支援するサービスをご提供しております。お気軽にご相談ください。