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9月は「障害者雇用支援月間」です

毎年9月は「障害者雇用支援月間」です。

この月間は、障害のある人の雇用に対する社会全体の理解を深めるとともに、障害のある人の職業的自立を支援することを目的として設けられています。

企業にとって障害者雇用は、法定雇用率への対応という側面があります。

2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.7%となりました。一定規模以上の企業には、障害者を雇用する義務があります。

しかし、障害者雇用について考えるとき、「何人雇用するか」だけに意識が向いてしまうと、本来大切なことを見落としてしまうかもしれません。

重要なのは、雇用した人がその職場でどのように力を発揮し、安心して働き続けられるかということです。

「雇うこと」と「活躍できること」は同じではない

障害者雇用では、採用そのものが目的になってしまうことがあります。

しかし、採用はゴールではありません。

例えば、次のような状況では、せっかく採用しても本人が力を発揮することは難しくなります。

– 業務内容が本人の特性に合っていない
– 仕事の指示が分かりにくい
– 困ったときに相談できる人がいない
– 周囲がどのように関わればよいか分からない
– 配慮が必要なことについて本人が伝えにくい
– 将来の見通しや役割の広がりが見えない

これは障害者雇用に限った問題ではありません。

誰であっても、自分の能力や特性と仕事の内容が合わず、周囲との関係が築けず、相談もできない環境では、働き続けることが難しくなります。

障害者雇用について考えることは、結果として「すべての従業員が働きやすい職場とは何か」を考えることにもつながります。

大切なのは「できないこと」だけを見ることではない

障害のある人を雇用するとき、「どのような配慮が必要か」という視点はもちろん重要です。

一方で、それだけでは十分ではありません。

「何ができないのか」だけを見るのではなく、

その人にはどのような強みがあるのか。
どのような環境で力を発揮しやすいのか。
どのような仕事で能力を活かせるのか。

という視点も必要です。

企業には、それぞれ異なる仕事があります。そして働く人にも、それぞれ異なる能力、経験、価値観、得意不得意があります。

重要なのは、人を仕事に無理に合わせることだけではなく、仕事の内容や進め方、役割の持たせ方を工夫しながら、その人が力を発揮できる接点を見つけていくことではないでしょうか。

これは、障害者雇用における職域開発の考え方にもつながります。

またその人の経験・能力、動機・欲求、価値観を大切にする考えは、弊社コラムでも何度かご紹介している「キャリア・アンカー」という、その人のキャリアにとって錨(いかり)のような拠りどころになるものです。
決して障害者の方だけでなく、全ての従業員の働きがいを生み出すことにもつながるはずです。

障害者雇用は「人材定着」を考える機会にもなる

近年、多くの企業が人材不足や離職への対応を課題としています。

人材を採用することはもちろん重要ですが、採用した人が長く働き、成長し、力を発揮できる環境をつくることも同じように重要です。

そのためには、企業側だけが「この仕事をしてほしい」と考えるのではなく、働く人自身の思いや特性、将来への希望にも目を向ける必要があります。

例えば、

「今の仕事で困っていることは何か」

「どのような環境なら働きやすいか」

「どのような仕事にやりがいを感じるか」

「これからどのように働いていきたいか」

こうしたことを話す機会があることで、本人と会社の間に新しい選択肢が生まれることがあります。

障害者雇用においても、人材定着においても、重要なのは「問題が起きてから対応すること」だけではありません。

日頃から本人の声を聞き、働き方や役割について一緒に考えることが、職場への定着につながります。

「配慮」は特別扱いではなく、働きやすさをつくる工夫

合理的配慮という言葉から、「特別な対応」をイメージする人もいるかもしれません。

しかし、働きやすさをつくる工夫の多くは、職場全体にとってもプラスになる可能性があります。

例えば、

– 業務指示を分かりやすくする
– 役割や責任範囲を明確にする
– 相談しやすい関係をつくる
– 業務の進め方を見直す
– 一人ひとりの得意なことを活かす
– 困りごとを早めに共有できる仕組みをつくる

こうした取組は、障害のある人だけのためのものではありません。

新入社員、若手社員、子育てや介護をしながら働く人、年齢や経験の異なる人など、多様な人が働く職場においても役立ちます。

障害者雇用への取組をきっかけに、職場そのもののあり方を見直すことができるのです。

採用後の「相談できる場」も重要

働き続ける中では、誰にでも仕事上の悩みやキャリアについて考える時期があります。

特に、自分の困りごとを上司に直接伝えることが難しい場合もあります。

そのようなとき、社内の人間関係とは少し距離を置いた相談先があることは、一つの安心につながります。

キャリアコンサルタントは、働く人が自らの職業生活について相談し、自分自身の考えを整理しながら、今後の方向性を考えることを支援する専門家です。

キャリアについての相談は、昇進や転職だけに関するものではありません。

今の仕事への戸惑い、職場での人間関係、働き方への不安、自分の強みの活かし方なども、キャリアを考える上で大切なテーマです。

障害者雇用においても、本人が「働き続けること」だけではなく、「自分らしく働き、成長していくこと」を考えられる環境をつくることが重要ではないでしょうか。

9月を、職場の「人を見る視点」を見直す機会に

障害者雇用支援月間は、障害者雇用について考える機会です。

しかし同時に、企業にとっては、

自社は、一人ひとりの違いを活かせる職場になっているだろうか。

従業員が困ったときに相談できる環境があるだろうか。

採用した人が、自分らしく力を発揮しながら働き続けられる職場になっているだろうか。

と考える機会でもあります。

人材不足が続く時代だからこそ、「人を採用すること」だけではなく、「今いる人が力を発揮し、働き続けられること」に目を向ける必要があります。

障害者雇用を特別な人事課題として切り離すのではなく、人材活躍や人材定着、そして組織づくりにつながるテーマとして考えてみてはいかがでしょうか。

9月の障害者雇用支援月間をきっかけに、あらためて「人が働き続けられる職場とは何か」を考えてみたいものです。

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自動車業界で開発業務を経験し、産業カウンセラー / 国家資格キャリアコンサルタント取得。グループアプローチによる課題解決支援も経験する。2023年にキャリアデザイン・メンタルサポート株式会社設立。静岡県を中心に企業向け人材定着・職業能力向上、メンタルヘルス支援を実施。またキャリア理論や公的機関の調査・法制度を分かりやすく解説し、企業経営者と働く人の双方に役立つ情報発信を心掛けています。

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