
働くこととは何だろう?勤労感謝の日に考える仕事の意味
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11月23日は「勤労感謝の日」です。
働くことは、私たちの日常生活の一部になっています。会社で働く人、自分で事業を営む人、家事や育児、介護などを担う人など、さまざまな形で私たちは日々活動しています。
普段、当たり前のように受け止めている「働くこと」ですが、改めて考えてみると、私たちは何のために働いているのでしょうか。また、働くことにはどのような意味や価値があるのでしょうか。
今回は、勤労感謝の日を機会に、働くことについて考えてみたいと思います。
内閣府が実施している「国民生活に関する世論調査」には、働く目的や理想的な仕事について尋ねる質問があります。
令和8年9月に実施された調査(速報)では、働く目的について、次のような結果が示されています。
最も多かった回答は「お金を得るために働く」で、63.3%でした。次いで「生きがいをみつけるために働く」が12.9%、「社会の一員として、務めを果たすために働く」が11.8%となっています。
この結果から、多くの人にとって、働くことは生活に必要なお金を得るための手段であることが分かります。
生活していくためには収入が必要ですから、これは自然なことだと思います。一方で、働く目的はそれだけではありません。生きがいを見つけることや、社会の一員として役割を果たすこと、自分の能力を発揮することなどを目的としている人もいます。
では、私たちは仕事に何を求めているのでしょうか。
同じ調査では、理想的な仕事についても尋ねています。回答が多かったのは、次のような項目です。
– 収入が安定している仕事:61.9%
– 私生活とバランスがとれる仕事:56.2%
– 自分にとって楽しい仕事:49.9%
この質問は複数回答なので、一つに絞る必要はありません。収入の安定だけでなく、私生活とのバランスや仕事の楽しさなど、いくつもの条件を理想として挙げることができます。
こレラの結果から推測できることは多くの人たちが、働く目的としては収入を得ることが最も多い一方、理想の仕事にはそれ以外の要素も求められていることです。
私たちは、生活のために働きながらも、仕事を通じて何か別のものも得たいと考えているのかもしれません。
仕事には、楽しいこともあれば、辛いことや苦労することもあります。
思い通りに進まないことや、責任の重さを感じることもあるでしょう。一方で、仕事をやり遂げたときの達成感や、誰かに喜んでもらえたときのうれしさ、自分の成長を感じる瞬間もあります。
同じ仕事であっても、ある人にとっては大きなやりがいを感じるものであり、別の人にとっては負担に感じるものかもしれません。
また、働くことを通じて得られるものは、収入だけではないでしょう。
仕事を経験することで知識や能力が身についたり、さまざまな人と関わることで自分の考え方が広がったりすることがあります。これまでできなかったことができるようになり、自分自身の成長を感じることもあるでしょう。
その一方で、仕事を通じて自分の得意なことや苦手なこと、大切にしたい価値観に気づくこともあります。
働くことは、単に与えられた仕事をこなすだけではなく、自分自身を知り、経験を重ねていく機会にもなっているのではないでしょうか。
働くことについて考える際に、参考になる書籍があります。
岡田昌毅さんの著書『働くひとの心理学 働くこと、キャリアを発達させること、そして生涯発達すること』です。
この書籍では、働くこととは何か、なぜ人は働くのか、働くための原動力にはどのようなものがあるのかといったテーマが、心理学やキャリア研究の視点から取り上げられています。
第1章「働くことの理論」では、働くことの定義や目的、仕事への動機づけなどが扱われています。また、働くことを通じた成長や、よりよい仕事との関わりについても考えることができます。これらは国内外の有識者の考えとともに紹介されているので、働くことに対する知見を広げることができるでしょう。
私自身、この書籍を通じて、働くことにはさまざまな側面があり、一つの視点だけでは捉えきれない奥深さがあると改めて感じました。
特に、黒井千次氏の言葉として紹介されている「就職による生活上の一大革命」(p.14)や「仕事が自分の中に入る」(p.17)という感覚は、新鮮な視点として受け止めました。
学生や新社会人はもちろん、社会人経験を重ねた人も、社会に出た頃を思い出し、「初心忘るべからず」と自らに語ってみると、何か気づきが得られるのではないかと感じます。
働く目的や仕事に求めるものは、人によって異なります。また、同じ人であっても、年齢や生活環境、これまでの経験によって変わっていくことがあるでしょう。
若い頃は収入を得ることや仕事を覚えることが中心だった人も、経験を重ねる中で、自分の能力を発揮することや誰かの役に立つことに価値を感じるようになるかもしれません。反対に、仕事以外の生活を大切にしたいと考えるようになることもあるでしょう。
働くことに、誰にとっても共通する一つの正解があるわけではありません。
収入を得ることも、仕事を楽しむことも、社会の役に立つことも、自分自身が成長することも、それぞれ働くことの大切な一面です。
だからこそ、ときには立ち止まって、自分にとって働くことにはどのような意味があるのかを考えてみることも大切ではないでしょうか。
今年の勤労感謝の日には、普段あまり意識することのない「働くこと」について、少し考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料・文献
内閣府「国民生活に関する世論調査(令和8年9月調査)」2026年10月30日公表(速報)
働くひとの心理学 働くこと、キャリアを発達させること、そして生涯発達すること.岡田昌毅著. ナカニシヤ出版,2013,252p.