
社員のキャリア支援、まずは自社の「人の課題」から考えてみませんか
受付時間:月〜金 9:00〜18:00

令和8年10月30日、厚生労働省は「グッドキャリア企業アワード2026」の受賞企業を発表し、従業員の自律的なキャリア形成を支援する15社を選定しました。
「グッドキャリア企業アワード」は、従業員の自律的なキャリア形成を支援するうえで、他の模範となる取り組みを行っている企業などを表彰し、その理念や取り組みを広く発信することで、キャリア形成支援の重要性を普及させることを目的としています。
アワードの概要については、こちらの記事で紹介しています。
厚生労働省の発表資料をもとに、受賞企業のうち3社の取り組みをご紹介します。
今回取り上げるのは、株式会社ササキ、有限会社近松商会、株式会社勝山電気工事です。業種も取り組みの出発点も異なりますが、共通しているのは、制度を導入すること自体を目的にせず、自社が抱える課題や目指す姿から考え始めていることです。
株式会社ササキ(電気機械器具製造業、従業員数347人)は、半導体需要の拡大に伴って急成長する一方、離職率15%や現場の疲弊を課題として抱えていました。そこで外部の1級キャリアコンサルティング技能士と協働し、社長や役員が先にキャリアコンサルティングを体験。その後、「セルフ・キャリアドック」の対象を段階的に広げました。
社員との面談で聞いた声は、人事評価制度の改善にもつなげています。厚生労働省の公表資料によると、離職率は15%から6%に改善しました。また、派遣社員から正社員になった社員のうち、3人が課長、11人が主任に登用されています。
有限会社近松商会(各種商品卸売業、従業員数35人)が向き合ったのは、早期離職や、相談できる環境が整っていないこと、成果が評価されていないと感じる社員がいることでした。会社の成長と人の成長を考えた時に後者を重視することを決めて、全社員が「ここで働いてよかった」と思える状態を大切にしながら、キャリアコンサルタントと制度づくりを始めました。社員が主体的に成長を実感できる組織文化を育て、主体的な提案や部署を越えた連携も生まれているといいます。
株式会社勝山電気工事(設備工事業、従業員数14人)には、特定の元請業者への依存によって、経営が厳しくなった経験がありました。下請けから元請けへと事業の舵を切る中で、社員が施工だけでなく、提案や見積もり、図面作成、施工管理まで担えるよう、多能工化を進めました。
社員自身が「今期どの力を伸ばすか」を選び、役員との面談で目標への道筋を考えます。挑戦を後押しする仕組みは、社員の成長と事業の変化を支えています。公表資料によると、売上高は3億円未満から7億円超へ拡大し、営業利益率も5%以上向上しました。また、採用応募数は年間3人ほどから30人近くに増えています。
今回ご紹介した3社は、キャリア支援を導入すること自体を目的にしていたわけではありません。離職や現場の疲弊、社員が成長を実感できる職場づくり、事業の転換といった、それぞれの経営課題に向き合う中で、キャリア支援を取り入れてきました。
社員の声を聴き、成長や挑戦を後押しすることは、経営課題への対応に役立つだけでなく、社員が自分の成長や仕事の意義を感じることにもつながります。経営上の課題に取り組むことが社員の成長や働きがいを支え、社員の力が組織や事業を支える。そうした好循環が生まれる可能性を、3社の事例は示しています。
ただし、その好循環を生む方法は、組織の文化や事業の状況によって異なります。社員の人数や仕事の進め方、経営者と社員の関係、会社が大切にしてきた価値観もさまざまです。受賞企業の制度をそのまま取り入れるのではなく、自社が抱える課題や経営陣のニーズと、社員が望んでいることを確かめながら、無理なく続けられる方法を考えることが大切です。
弊社では、第三者のキャリアコンサルタントとして、経営者と社員それぞれの声を聴き、課題を整理したうえで、自社の文化に合った取り組みや仕組みづくりを支援しています。「自社でも何かできるだろうか」と感じられたら、まずはお気軽にご相談ください。